めでたいでんしゃ加太さかな線と友ヶ島

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10月の三連休、天気も良いという事で突然に思い立って、和歌山県は友ヶ島に行って来ました。
廃墟マニアには〝鉄板〟、お馴染みですね。

で、去年の夏に加太海水浴場に行った時に、「そういえば友ヶ島って、すぐそこじゃないの」と思ってたんですよね。あの風景は、一度は観てみたいなー、とは思っていました。

思い付きなので、予定は未定にして裂蹄にあらずな適当で、とりあえず10時ぐらいの船に乗れれば良いか、みたいな船の時間もろくに調べず、朝7時前に自宅を出発。
(実際のところ、10時より早い船に乗ろうとしたら、出発も始発並みの時間帯になるので、ちょっと無理なんですが)

というか、そもそも10時の船って臨時便で、G.W.と夏休み期間以外は無いみたいなんですが(爆)

大阪メトロで、なんば駅へ。
そこから南海電車の特急サザンに乗って、和歌山市駅へ。
いやぁ、南海電車に乗ったのって、10年ぶりとか。それぐらいかも(笑)

和歌山市駅で同じ南海電車の加太線(加太さかな線)に乗り換え。

止まってる電車、ラッピング車両のようで、、、列車内に入ると内部も細部までラッピングされているし(床まで!!)、座席シートもラッピングに合わせた絵柄になってるし、日差し避けのブラインドにまで絵柄がプリントされている徹底ぶり。
更に吊り革も海の生き物シリーズのような感じで、数種類の形がぶらさがっている。

なかなか気合いが入ってる。
おまけに車内広告が一切無い、そのかわりラッピングのコンセプトに合わせたデザインのポスター等になっている。

〝めでたいでんしゃ〟と鯛のマーク。

はて?
加太って鯛が有名なんですかね?

そんなこんなで9時過ぎに加太駅に到着。

駅前に何やらお土産屋さん? 飲食店さん? みたいな建物があったのですが、まだ開いてない模様。
駅からユルユルと坂道を下ると観光案内所があったので地図をゲット。

地図を見ながら海を目指す。
途中から国道を外れて住宅街の細い路地の中へ。

加太春日神社の近くを通った時、何やらお店っぽい感じの家があり、何かパン? 揚げ物? っぽいものが目に入って気になりつつも通り過ぎる。

堤川に出てから川沿いに歩くと。何やら小洒落た蔵っぽい建物が、、、スイーツのお店?、ここもまだ開いてない模様。

川から離れて海沿いの住宅街へ進むと、〝よもぎ餅〟と書いたお店『小嶋一商店』があったのですが、ここも気になりつつ通過。

友ヶ島に渡る『友ヶ島汽船』乗り場は、この近くだと思うんだけど、と海の方を覗くと開けた駐車場の奥に乗り場を発見。

うわー、もうけっこう並んでるなー、こりゃ10時は無理で次の11時とかじゃない?、と列に並んでいると、どうも整理券を貰うための列のよう。

整理券を貰いつつ、、、

「一番早い時間で12時30分になります」

え?
今、なんと?
まだ10時前なんですけど?

えーーーーーー、マジかーーーーー

10時とか11時っていう話じゃなくて、これから2時間半、どうすんだ、という(爆)

なんでも、今日は特別に人が多いみたいで。臨時便を出してピストン輸送しているみたい。10時の船に乗るには9時前には整理券を貰っておかなくちゃ無理っぽいみたいだった。

まあ、、、他に何処かへ行く予定も下調べもしてないので、12時30分まで時間を潰すか、と。

歩いてすぐのところに淡嶋神社があるので、とりあえず向かう。

淡嶋神社の前にはkitchen daichanカフェ(土日のみオープンらしい)があって、神社の入り口には海の幸を楽しめる店先も並んでいて、なかなか良い感じです。

淡嶋神社の本堂に行くと、その左右にたくさんの人形が。なかなか壮観な景色。
人形の供養をやってる神社なんですかね。

淡嶋神社から海の方に突き出てる堤防の先に灯台があるみたいなので、散歩がてらに向かう。
沢山と釣りをしている人がいました。
途中、加太漁協鮮魚市場らしき建物があったのですが、日曜日なので休みだったんですかねえ。

先端まで行くと、小じんまりとした赤い加太港第1防波堤灯台がありました。

ブラっと回って11時ぐらいに船乗り場に戻って来たら、「本日のチケット販売終了」との看板が。
うほ、危ない危ない。
これからも電車や車で友ヶ島に行こうと訪れる人がいるだろうに、まさか午前中で終了とは。
(実際、けっこう見掛けました)

まだまだ時間があるので、近所にあったカフェ『オジバ商店(名前のない喫茶室)』でアイス珈琲&アイス最中。古民家カフェで、田舎のおばあちゃんの家的な、金田一耕助の撮影で出て来そうな空間で、とても良かったです。

珈琲後に「よもぎ餅を買おうか」と小嶋一商店へ行くと、既に売り切れ、、、

11時半過ぎに船乗り場に戻ると、既にチケット販売を終了しているし、整理券も全て配り終わっているので、待っている人も少ない感じ。
たまーに、状況を知らずに来られた方が驚いて帰る、みたいな感じで。

自宅から唐揚げとオニギリを持参していたので、ここでベンチに座って昼御飯。

そうこうしているうちに12時30分出航の整理券を持つ乗客が集まり始めた。
そしてやっとこさ出航。

友ヶ島自体は加太の海沿いから見えているけど、友ヶ島側の港は加太から見て反対側にあるので、ぐるっと友ヶ島を回り込む感じで、20分ほどで友ヶ島の野奈浦桟橋に到着。

野奈浦桟橋は公園のようになっていて、島内唯一の飲食店舗『らぴゅカフェ』がある。
公園は広々していてベンチもあって、本当はここで昼御飯する予定だったんだよねえ。

でも、12時30分の出航で13時前に友ヶ島に到着して、メインの砲台跡を幾つか観て回るなら2,3時間は必要だし、夕方の便は帰り客が増える為、早めの方がスムーズに待たずに乗れると思うよ、というアドバイスがあったので、15時には野奈浦桟橋に戻って来れるようにしよう、という現地2時間の弾丸コース(笑)

まずは〝第四砲台跡〟へ向かう。
これだけ、反対側にあるんだよね。

ぐいぐい登り坂。
道は車一台が通れるほどの広さなんですが、一切舗装はされていない砂利と土の道。

考えてみたら砲台なんだから、島の高台に設置されるよね、と思った瞬間、他の砲台跡に向かうのも基本的に登りばかりなのか、という嫌な予感が。。。

そこそこ息も荒くなって来た頃に〝第四砲台跡〟に到着。
流石に単独で他とは離れている砲台なのか、あまり人がいない。

建物の外壁だけが残ってる感じで、「あれ、これだけ?」と思って外壁を右へ回り込むと降る坂道になっていて、降りた先にレンガで出来た、「あ、この風景、そうそう」っていう世界が待っていました。

弾薬庫なのか何かしらの貯蔵庫なのか、それとも待機所なのか、同じ作りのガランとした部屋が3つほどあり、中は少し外の光が入るとはいえ、部屋の奥までは光が届かず真っ暗。
流石に何も見えないのでスマホのライトを使って周囲を確認、部屋の奥側で各部屋が繋がって移動出来るようになっていた。

部屋が並ぶ一番奥側には、部屋と並行して細い通路が続いていて、ライトで照らしながら進むと階段が現れた。

「え?、これ、勝手に登っちゃってよいの?」と思いつつ、スマホのライトを頼りに階段を登り切ると、外からの光が差し込んでくる空間があった。

丸い円が2つ並ぶ開けた空間。
そこからまた細長く暗い通路が続いて、その先に同じ造りの丸い円が2つ並ぶ開けた空間。

あぁ、なるほど。
ここに砲台があったわけだ。
この丸い円のところに台座があって、その上に砲台があったんだろうね。

外からだと木々に覆われて、壊れた外壁や部屋が3つほどある施設にしか見えないけど、建物の中に入って移動すると意外に広く感じて、今自分がどの辺りにいるのか方向感覚が無くなってしまう。

これはなかなかの冒険感。

さて、あまりゆっくりはしてられません。

次は友ヶ島といえば、という〝第三砲台跡〟へ。

まずは来た道を戻る。
野奈浦桟橋へ戻る分岐で〝第三砲台跡〟方面の道へ進む、、、が、、、ここから延々とダラダラした上りが〝第三砲台跡〟直前まで続く事になる。

たぶん〝第三砲台跡〟が島内で一番高いところにあるんじゃないかな。

なかなかキツイ。

時間の余裕も無いので、移動中は休憩もしないし、人を追い抜くことはあっても追い越された事は無い、というペースで進む。

足も疲れて来て、砂利や大きな石の合間で転けそうになったりもしながら、ひーひー言いながら〝第三砲台跡〟に到着。

マジで、ずっと登りだった。。。

〝第三砲台跡〟は、〝第四砲台跡〟と同じような造りではあるのですが、規模が大きい。
砲台の数が増えているので、建物の中に入ると、もしかしてRPGでダンジョン探索してる?、みたいな世界観になる。

途中、凄く開けた空間もあって、もちろん地面の中に造られたレンガでこしらえた部屋で窓も何も無く、ここでもし寝泊まりでもする事を考えたら、ちょっと無理だよなー、と思ってしまう。

〝第三砲台跡〟には、将校が使った建物も残っていました。

目の前に広がる砲台跡はノンフィックションな現実なんですが、時間が止まったような世界観で、リアルなのに非現実観が漂う不思議な感覚。

でもここで約100年前の大日本帝国陸軍時代から、人が管理し戦争に備えていた事実があるんですよね。

※動画は明るめですが、実際にはスマホ等のライトが無いと、けっこう真っ暗です。

〝第三砲台跡〟を後にして、野奈浦桟橋へ戻るために海岸方面に降りる。
降りも石に足を取られて滑りそうになったり、息切れはしないけど足の負担は登り以上にキツイので、これはこれで辛い。。。

途中で小展望台に寄り道しつつ、〝第五砲台跡〟に到着。
ここは中腹にある感じがして、規模は小さめなのかな。廃墟感も強くて、自然の力に飲み込まれつつある感じがしました。

海岸線に出ると、野奈浦桟橋とは逆方向に向かうと残りの〝第二砲台跡〟→〝第一砲台跡〟と向かう事が出来るようなのですが、時間もまもなく15時。
残念ながら、ここでタイムアウト。野奈浦桟橋へ向かう。

野奈浦桟橋に到着すると、ちょうど船に乗客が乗り込み始めているタイミングで、「まだ乗れるよ」って事で、そのまま滑り込みで乗船、直ぐに出航。

いやぁ、友ヶ島滞在時間、2時間ちょいだったねえ、ホントに(笑)

加太港に戻って、ブラブラと加太駅へ向かう。
もう時間に追われる事は無いので、何かお店でもあれば寄り道するかと、行きしは閉まっていた堤川添いのスイーツのお店? カフェ?かな『QQQ × UTA』へ。

カフェは30分待ちみたいな案内がされていたけど、特にカフェ利用するつもりも無かったのですが、店内ではアクセサリーとか紀州なだけに梅干しとかが販売されていました。
お土産で買うのにも良いんじゃないでしょうか。

再び駅に向かいつつ、住宅街の細い路地の中にある『友ケ島海苔本舗』へ。
小さな看板はありますが、完全に普通の民家です。
そして、普通に民家を訪れるようにインターホンを押してから、玄関を開けて中に入ると、お店の方が出て来ます。

玄関先にどわーっと、一面の海苔のケースやら袋が置いてあって、ちょっと圧倒される。

「え、こんな量の単位でしか買えないの」と思ったのですが、ちゃんと個人販売用もあって安心。

これ、めちゃくちゃ美味しいです。
あっという間になくなりそう。

楽天やらAmazon等のネット販売からの購入は出来るようですが、リアル店舗での販売は製造元の、この場所だけのようで、所謂〝道の駅〟等では見当たらないらしいですね。

もし友ヶ島に行かれる方は、『友ケ島海苔本舗』お薦めです。

海苔をゲットして駅に戻る途中、「そういえば、パン屋みたいな店があったよね」と、店のあった辺りに戻って来ると、、、うーん、既に本日終了っぽい雰囲気。

後で調べたら、揚げパンやサーターアンダギーのお店『キシモト商店』との事。

ちょっと残念。

よもぎ餅といい、この揚げパンといい、見つけた時にゲットしておきましょう、教訓(笑)

加太駅に戻って来ると、駅前にあったお店らしき建物がオープンしてて、お店の方が「昨日、オープンしたんですよ」と。
なんとまあ。

En』というお店で、メインは〝う〜めん〟というらしい、、、つけ麺系のお店なのかな?

南海電車、帰りもラッピング電車で、今度は音楽と海賊っぽいコンセプト。
ほう、〝L’Arc~en~Ciel〟のボーカル、HYDEさんとのコラボなのか。

16時過ぎに加太駅を出発、戻って来たのは18時半ぐらい。

なかなかの弾丸コースでしたが、友ヶ島も駆け足でしたが、それでもなかなかの満足度でした。
足は疲れたけど(笑)

※加太駅前の『En』は、まだGoogle Mapには記載されていませんでした。(2024年10月15日時点)


友ヶ島、滞在2時間ちょいという弾丸でしたが、なかなか濃い2時間で満足度が高かったです。

2時間で第四砲台跡→第三砲台跡→第五砲台跡と巡りましたが、あと1時間から1時間半程度の時間があれば、残す第二砲台跡と第一砲台跡も回れたかなもと思います。
ただ、移動中は全く休憩無しで、他の人を追い抜く感じの徒歩ペースだったので、ゆっくり歩いて観て回るのであれば、もう少し時間に余裕があった方が良いと思います。

また、各砲台跡や展望台とか灯台を巡る道は、道幅が広いとはいえ舗装されておらず、土や砂利で足下をとられたりもするので注意が必要なのと、基本的に野奈浦桟橋が起点になるので、海抜0メートルがスタート地点とも言えるので、何処に向かうにしても登りがメインで、帰りが降りという移動になります。

ご年配の方や子供さんを連れている方は、十分に時間の余裕を見ておいた方が良いかなと思いました。登山とまではいかないですが、それなりのアップダウンがあるハイキングになると思います。

まあ、、、普段は全く運動もしていない私が基準なので、あまり参考にならないかもしりませんが。

あと、雨風等の気象条件や海上の状況によって、友ヶ島汽船は欠航もあるので、天気が怪しい時は事前確認しておいた方が良いと思います。
今回のケースからも週末や長期休暇で観光客が集中すると、午前中で友ヶ島汽船のチケット販売終了もありうるので、どうしても行きたいという方は、早め早めの行動が吉かもしれません。

友ヶ島観光、以前は南海電車が手掛けていたそうですが、今は撤退しているそうで、そういえば南海電車の加太さかな線に乗ってても、ラッピング電車のクオリティも高くて頑張ってるんですけど、友ヶ島を連想させる情報は見掛けなくて、「どうしてかな?」と不思議に思いました。

和歌山県の加太は、友ヶ島以外にも観光地はあるわけですが、電車で加太駅まで訪れる観光客の大半は友ヶ島が目的だと思うんですね。
友ヶ島以外の魅力を伝えるのも重要だと思うんですが、友ヶ島を全くスルーしてる感がして、ちょっと違和感がありました。逆に〝めでたいでんしゃ〟と言われて、加太駅に降りても「鯛が有名なの?」と、よくわかりませんでした。

加太駅周辺から港周辺と、小洒落たカフェも幾つかあるようですし、老舗のお店もあったりしますし、観光業を形作っていくには、まずは地元住民と地元企業が動く必要があって、そこに公共交通機関や行政がバックアップするのが良いと思うんですが、友ヶ島観光から撤退したとはいえ、南海電車ももうちょっと友ヶ島と結びつける情報を扱っても良いのでは、と思った次第。

まあでも、友ヶ島。良かったですよ。
人工的に造られたテーマパークのアトラクションと違って、リアルな現実世界において、まるで非日常的な空間に放り込まれる感じのアトラクション感がありました。

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