週末は「教授」漬けでした(笑)
純粋な教授自身のフル・アルバムとしては、2004年の「CHASM」以来、5年ぶりの新譜。
「out of noise」
そして、教授の自伝的本。
「音楽は自由にする」
、、、とリリースがあり、既に4年ぶりとなるピアノ・ソロ・ツアーもスタート。
各ライブ終了後、ライブ・レコーディングされた全音源(なんとMCまでも!!)が、24時間以内にiTunes Storeでリリースされるという、面白い試みもスタートしています。
現在、東京3公演が終わり、リリース済み。3月22日の京都公演も24時間以内なので、今日中にはリリースされる事でしょう。
(全公演ゲットなんていう、コンプリートされる方、どれだけいるのだろう、、、笑)
そんなわけで、アルバムと本の感想など、つらつらと思いつくままに書いてみようかな、と。
特に本に関しては、ネタバレになっちゃうかもなので、これから読まれるという方は注意して下さい(笑)
♪out of noiseが発売されたのは知っていましたが、なぜかCD屋(レコード屋と言う方が、しっくりくるのですが、、、)に近付く機会がありませんでした (笑)
まぁ、「何時でも買えるし」という気持ちもありましたが、CD屋に行くと聴いてみたい音源が沢山と出会ってしまうので、1年ぶりなんかで行くと、ついつい1万、2万とお金を使ってしまう。
それが分かっているので、なかなか近寄らない。。。
もちろん、iTunes Storeでも買えたのですが、やっぱり大好きなアーティストの音源ぐらいは、形あるモノで持っていたいという気持ちもありましたからね。
で、、、アルバム買う前に、久々に教授の曲を聴いてみよう、なんて思い立って。
♪未来派野郎とか♪音楽図鑑とか、、、古すぎだっていう(笑)
そんな中、ふと目にとまったのが、、、
「ELEPHANTISM」
???、、、どんなアルバムだったかな。。。記憶に残って無い。でもアルバムは、そこにあるし。。。
うん、聴いてみよう。
うわー、凄くアンビエント。
なんて気持ちいいんだろう。
たぶんね、このアルバムを買った頃って、アンビエントについて、特別な思いが無かったんだと思う。
アンビエント・サウンド自体は、90年代からずっと聴いてはいたけど、あくまでもテクノ好き人間として、その中のジャンルとして「とりあえず通過」しておこう、、、みたいな感覚だったから。
でも、ここ1,2年は、凄くアンビエントが心地よい。
まぁ、単に歳をとったとか、そんな理由からかもしれませんが(笑)
自分で作る音に対しても、アンビエントって凄く受け入れられるようになってる。
それと、この♪ELEPHANTISMを聴いた時、直前に京都・伏見でのアンビエントなカフェ・ライブに参加させて頂いた時、「水」をテーマにしたイベントだったのですけど、、、まさしく♪ELEPHANTISMって「水」だっ、、、とか思って。
持っていたのに、記憶に残っていなかったアルバムのサウンドが、直前に参加していたライブと繋がってしまったようで、妙に嬉しかったんですよね。
そして、やっとこさ、♪out of noiseに辿り着くわけです。
非常に質素な体裁のアルバム。
CD盤はトレイに入っているだけ。所謂、CDケースという箱には入っていない。
そして、ジャケットと裏面に曲名等のクレジット。
説明には、使っていない空いているCDケースがあれば、それを利用して下さい。
ジャケットにはミシン線があり、そこで切り取ってCDケースに入れて下さい。
また、この1枚あたりのCD製作で排出されたCO2に対して、このアルバム1枚の売り上げの一部が森林再生プロジェクトに利用され、オフセットされる試みもなされていて、いかにも教授らしい実験というか発想がある。
(上記は通常盤の話で、初回限定フルアートワーク盤は豪華なブックレット付きになります)
さてさて早速、聴いてみよう。
1曲目、♪hibari、、、とっても綺麗なピアノのテーマが繰り返される。
映画のシーンでヒッソリと、まるで効果音のように流れていそうな1フレーズのテーマがループしている。
素朴で綺麗で気持ちいいな、、、と思って聴いていたその時、妙な違和感があり、「えっ?!」と、ぼんやり聴いていた耳が音に集中する。
そういえば、自分の作ったオケを4dmsさんに聴いて頂いた時に、「テンポに合っているディレイに違和感ある」って言われて、あえてリズムと合わないディレイにした事があったのですが、その感覚、改めてこの曲を聴いていると、なんとなく理解できるというか、感じ取る事が出来ました。む〜、奥が深いなぁ(^^;;
2曲目、3曲目は、いかにも教授らしいクラシカルで知的な曲。
凄く物悲しい。この2曲は、テーマが繋がってる感じですよね。なんだか、自然の前では人間は滅んでいくしかない、そんな自然から人間へのレクイエムっぽい曲。
4曲目から10曲目は、完全アンビエント。
北極圏や色々な場所でフィールド・レコーディングされた音、ピアノ、電子音、その他。。。そんな「音」達が、必然性と偶然性を交錯しながらミックスされている。
個人的には、特に7曲目の♪firewaterが凄く好き。無意識に聴いていたはずなのに、気がつくと音にのめり込んでる、、、というか、のみ込まれている、そんな曲。
これら、、、というか、こういうアンビエントってね。
聴いた後から、「似たような曲を作れ」ってなると、凄く簡単、、、というか、誤解を恐れずに言うなら、簡単なんですよね。今のソフトウェア使えば、勝手にそんなふうな音、次々と作り出してくれるから。
でも、こんな五線譜や音符に支配されない、解き放たれた音を、最初に作り出す時のエネルギーは凄いはずなんですよね。そこに凄く魅力を感じるんです、アンビエントって。
それにアンビエントは、やっぱり「揺らぎ」が大切なんだと思うんですね。
作り手自身でさえ、「次の音、予測がつかない」という中にこそ、本物のアンビエントがあると思うんです。
そこには凄く偶然性が必要で、、、でも、その偶然性を作り出す土台には、作り手の必然性があって。
だから、偶然性といっても、適当とかデタラメとか、そういう事じゃないんですよね。
気持ちいいですよね。
11曲目は、またピアノの曲になる。
とてもシンプルなピアノ曲。なんかね、アルバム全体を通して、決して明るい彩りのテーマでは無いのは理解できるんですけど、この曲だけ、少し希望を持てる感じなんですね、、、って、この曲はカバーですか(笑)
最後に、とても難解な曲が待っている。
♪composition0919、、、ピアノだけのシンプルな曲が、段々と激しく切り刻まれループする。某CMで使われていた曲の基。そして、1曲目に戻ると、、、
うーん。
気持ちよかった。
♪out of noiseに浸って、素敵な時間でした。
、、、ところで、アルバム・タイトル中の「noise」。どんな意味なのでしょうね。
たぶん、音として聴こえるところでいう、ノイズじゃないですよねぇ。
思うところはあるのですが、「それ言っちゃ、オシマイでしょう(笑)」みたいな感じになりそうなので、やめておきます。
さて、そして教授の自伝本、「音楽は自由にする」。
まー、YMOファン、教授ファンからしてみれば、これまで色々な所で色々な活動や発言をされてきた教授ですから、知っている事も多かったりするわけですよね。そんな中、やっぱり9.11アメリカ同時多発テロ以降の流れは、とても興味深く読む事が出来ました。
自分がどうして教授のファン、、、ファンと言えるほど追い掛けて曲とか聴いてきたわけでもないのですが。。。とにもかくにも、教授のサウンドが好きになれるのかな、、、と。
西洋音楽、、、所謂、クラシックとかね。
そんな好きじゃないんですよね。
確かに、聴くと圧倒される楽曲もあるんですけど。
ピアノ、クラシック、作曲と、、、東京芸大と、、、その言葉だけみれば、ガチガチのエリート・コースに、理論とか、それはもう勉強も凄かったんだろう、、、とかね。思うんです。
私は趣味でやっているだけだし、特別な勉強なんてしてないですしね。
第一、まともに弾ける楽器も無い。
そのくせ、電子楽器使って、曲作りっぽい事、演奏っぽい事、してる。
それはもう、五線譜と鍵盤を目の前にして、1日12時間とか練習と勉強して来たような音楽家や演奏家にしてみれば、「そんな雑音、音楽じゃない」と怒鳴られるような事をしているわけです。
同じように、ガチガチの音楽家、、、だと思う教授が平気で、五線譜を無視するような楽曲を、プロとしてリリースしたりする。
YMOだって、あんな素晴らしい演奏家でもある3人が、コンピューターの打ち込みサウンドに身を委ねている。
へんちくりんですよね(笑)
普通だったら、否定しかねない行為さえ、積極的に取り入れちゃう。
そういう所に魅力を感じているんだと思います。
日本で音楽を習うって、あくまでも五線譜と十二音階だけでしょう。まるで、他の表現方法は音楽じゃない、みたいな。
だから、いつも思うんです。
例えば、素晴らしいピアニストが、ずっとクラシックの曲ばかり演奏している。
クラシックを演奏するのは趣味にしておいて、これから先の新しい音を、どうして奏でないんだろうって。
バッハとかモーツァルトとか、まー、どんなに興味が無い人でさえ、名前ぐらい知っている有名な作曲家達が、もし現代でも生きていたら、、、きっと最新のコンピューターやソフトウェアを使い倒して、新しい表現方法や演奏方法を模索していると思うんですけどね。
ちと話が脱線してますが(笑)
あと、この本を読んでいると。。。
やっぱり、外に出ないと駄目だなぁ、て。そこは思う。
今の若いコを見てても、ネットとか、それで人と繋がっている気分では、なんにも始まらないですよね。
そこは、改めて強く思いました。ただの道具に過ぎませんからね。
幸い、ずいぶん前からパソコン使ったりしてますが、そこに繋がりとか、まあ、一種の安心感?みたいなものを感じた事は無いので、助かってますけど(笑)
教授の本を読んでいても、才能もある方だし勉強もできる方なのは承知の事実ですけど、自分が何をやりたくて、どういう行動していて、、、という流れの中で、色々な人達と出会うわけですよね。そして、それが新しい何かを生む時、そこには必ずリアリティが存在していたんだなぁ、、、て。
やっぱり、実体験が自分と周りの成長に不可欠なんだなと。
教授が、「自分で考えてよ」って言った台詞、まさに、そういう事なんだと思います。
最後に、、、
後半の某ページで、ぽろっと書かれている事。
もし実現したら、テクノポップ・ファンは狂喜乱舞するでしょうな!!
私も、きっと小躍りすると思います(笑)
(小躍りどころではない、きっと)
そして、一通りやり尽くしたら、ぜひ京都に住んで下さい。
京都の落ち着いたカフェで、教授と出会える事を楽しみにしています。
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