Aphex Twin / Selected Ambient Works 85-92

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※画像をクリックするとHMVのページに飛びます。(画像はHMVからのリンクです)
どんな音楽ジャンルにも、「歴史を変えた」とか「歴史を作った」という言われ方をする、所謂「名盤」と呼ばれるアルバムがあったりするものです。
このエイフェックス・ツインというアーティストの、メジャー・デビューとなった1st.アルバム「Selected Ambient Works 85-92」はまさにテクノという音楽ジャンルの「歴史を変えた」、「歴史を作った」という名盤の称号に相応しいアルバムです。
エイフェックス・ツインは、元々はそのユニット名のとおり二人組のユニットでデビューしましたが、後にリチャード・D・ジェイムスという若干二十歳の青年一人の、ソロ・プロジェクトとして本格的に動き出します。


リチャードはシングルEP「Digeridoo(ディジャリドゥ)」で、彗星のごとくテクノ界に現れます。しかし彼は13才の頃から作曲しており、大学生になってからは自分でシンセサイザーやエフェクターを自作したり改造したりして、自分だけの「世界」を音にしていました。
このアルバムはタイトルどおり、そんな彼が昔から作りためていた作品の数々をまとめたものなのです。
聴いて頂くと分かると思いますが、ハッキリいって音が悪いです。特に1曲目なんか、まるで性能の悪い10年前のラジカセを風呂場で再生させたような音です。その他の曲も、何曲かは明らかに音が悪すぎるという判断ができると思います。
でも、こんなものを平気にメジャーなレーベルから1st.アルバムで出してしまったのです。まず、日本では想像すら出来ない事でしょうね。
しかし、作った本人は、そんな事なんて全く気にしちゃいない。
その後も、シングルEPでは、まるで「てきとーに」作ったとしか思えない作品をリリースしまくり、Aphex Twinという名義以外にも「Polygon Window」、「Caustic Window」等、何種類もの名義を使って、立て続けにアルバムやシングルをリリース。
その作品が、どれも関連性が無いというか、とても同一人物が作ったとは思えない作品で、一時は“多重人格者”なんていうデマまで流れる事になってしまう。
当時の雑誌のインタビューでは、「まだ発表してない作品が、DATに500本ある」なんて、軽く言ってのけてる。
そうかと思えば、これまた名盤中の名盤と言えるPolygon Window / Surfing On Sine Wavesという、楽曲もそうですし音そのもののクオリティも最高なアルバムを作ってみたり。
日本初来日のLIVEでは、ノートPC1台だけでノイズを延々と出して終わってみたり、私も行った来日DJでは、DJブースの下に潜り込んで観客からは見えないようにしてDJしたり。。。
色々な意味で、今までのテクノというか、音楽業界の在り方を覆す言動が、彼の音と共に広まったという感じなんですよ。その扉を開いたのが、このアルバムでした。
優秀なエンジニアがいなくても、高価な機材がなくても、「曲」さえ作れるのであれば、どんな状態でもリリース出来る、、、これを証明したわけです。売れる売れないとか、作品のクオリティとか意味を持たない。問題なのは「曲」を作るか、作らないか、ただ、それだけなのです。
このアルバムは、10年も前のアルバムになりますが、今、聴いても凄く新鮮です。しかし、彼の作品にはアルバム単位でもシングル単位でも関連性が無く、かなり好き嫌いが分かれる場合があると思います。私も彼の全ての作品が好きだというわけではありません。
でも、このアルバムと、、、
Polygon Window / Surfing On Sine Waves
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※画像をクリックするとHMVのページに飛びます。(画像はHMVからのリンクです)
この作品の2枚は、リチャード・D・ジェイムスの作品群の中で、最高のテクノ・アルバムと言えます。機会があれば、ぜひ聴いてみて下さい。
P.S.1
「Selected Ambient Works 85-92」に続いて出た2nd.アルバム「Selected Ambient Works Volume II」では、CD2枚組で20曲ちかく収録されているのに、発売当時はなんと全ての曲名が存在しないという、前代未聞のアルバムでした。私、輸入版で出て直ぐに購入して、必死になって曲名を調べたけど、分からなかった(笑)、、、今、現在発売されているものは、著作権等の問題から、曲名が付けられています。全曲、リズムが無く、本人曰く「自分の見た夢を音にした」という、かなり難解なアルバムになってしまってます。正直、まともに最後まで聴いたことがありません。
P.S.2
日本国内盤では発売されていませんが、通称「On EP」というシングルに収録されている「On」という曲が、私の中での1番の曲です。

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