歌川国芳展

江戸の奇才浮世絵師、歌川国芳の没後150年という事で、今年は「歌川国芳展」が大阪を皮切りに、静岡・東京と催されるようです。

歌川国芳展
http://kuniyoshi.exhn.jp/

歌川国芳 (Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%9B%BD%E8%8A%B3

ちょうど、大阪での最終日が日曜日だったので、妻と二人で大阪市立美術館まで、歌川国芳展へ行って来ました。
私は全くの無知なんですけど、妻は甚く国芳の「金魚」が大好きとの事で、もちろん「猫」も大好きなようです(笑)

京橋にある、行きつけのフランス料理店(ビストロ)で、以前に教えて頂いた、美味しいパン屋さんが四天王寺近くにあるという事で、そこでランチかわりにパンを買ってから行こうって事で、迷う事20分(笑)、ありました。お洒落なパン屋です。

Boulangerie Parigot
http://r.tabelog.com/osaka/A2702/A270205/27007052/

アレコレとパンを買ってから、天王寺公園へ。
そこで昼食。

で、大阪市立美術館へ。

んー、浮世絵は人気があるんだろうけど。
こういう美術系展覧会って、大阪で開催してもあまり人が入らないってイメージがあって、、、実際、人気のある作品群の展覧会でも、東京→名古屋→福岡、、、とか、なぜか関西を飛ばされるケースも少なくないんで。。。

しかし!!

うは、めちゃ、人が多い!!
最終日って事もあるんだろうけど。

中に入ると、展示室やロッカールームへの案内の看板が、いきなり国芳の「猫」ちゃんが案内している。更に、その床には、御丁寧に「猫」ちゃんの足跡まで。。。

とても、江戸時代の浮世絵展に来たという感覚じゃない、そんな雰囲気というか世界観が、いきなり始まっている。

浮世絵っていうと、風景画だったり歌舞伎役者や相撲、美人の絵だったり、庶民の暮らしや風俗の絵だったり、かわら版的な絵だったり、、、もちろん、国芳の浮世絵も、そういう作品が沢山ありました。

しかし、この国芳が「奇才」と言われるのは、やはりなんといっても、「金魚」シリーズや「猫」シリーズに代表される、動物を擬人化した、ヘンテコでオモシロオカシイ作品群でしょう。

東海道五十三次に習って、53匹の猫が描かれた作品、「猫飼好五十三疋」は、東海道五十三次の宿場町の地名を口で喋ると、、、見付は「寝つき」、桑名は「食うな」と聞こえるから、そんな仕草の「猫」ちゃんを53匹描いている。で、オチは捕まった鼠の悲鳴「ぎやう」を京に掛けてるそうな。

なんて、、、その、、、アホというか(笑)
バカバカしいというか(笑)

そんな発想で、浮世絵を描くのかっていう。

忠臣蔵の1シーン、浮世絵なら定番シリーズ。
しかしよく見ると、、、登場人物の顔が全て「蛙」になってる。そして、刀の刃がなぜかナメクジ。。。

わけわからん(笑)

そして、「猫」と共に有名な「金魚」を擬人化したシリーズ。

こんな、ヘンテコな作品が、後半はオンパレード。

あと、凄く発想が面白くて感心したのが、団扇に描かれていた浮世絵のシリーズ。
表は普通に描かれている。
しかし、裏は絵の全てが黒く塗りつぶされてシルエットになっている。影絵ですね。

表は勇ましい人物の絵なのに、裏を見ると影絵では笑ってような人の大きな横顔に見える、なんていうトリック。

これら以外にも、色々な発想で描かれた面白いトリックの作品も沢山とありました。

この発想には脱帽というか、凄いなって。
こんなヘンテコなアーティストが江戸時代にいたなんて思うだけで、嬉しくなって来ます(笑)

なんか凄く現代アートっていうか、この人、江戸時代の人じゃないよなー(笑)、なんて作品を観ていました。
で、なんていうのかな、この国芳の作品の世界観が、なんか知ってるような、でも、なんだっけ?、、、という感覚が沸いて来て。

で、それはなんだろう、なんだろう、と考えてた。

そして、まるでなぐり書きのような、落書きのような国芳の作品、「むだ書」を目にした時、、、

あっ!!!

歌川国芳。

この人、、、

「幕末の吉田戦車だ」

って(爆)

まず、「むだ書」という作品、絵のタッチが吉田戦車さのものだった。
、、、というか、吉田戦車の絵が、歌川国芳に似ている、というのが正しいか(笑)

そして、この奇想天外な発想。
絵を描く、最初のスタート地点、立ち位置からして、ヘンテコという。
「どうして、そういう発想なの?」という理由すら、意味不明的なヘンテコさ、不思議さ。

まるで、吉田戦車の「伝染るんです」そのまんま。

妙に納得してしまった(爆)

試しに帰宅して、「歌川国芳 吉田戦車」で検索すると、同じような事を思っている人が沢山と(笑)

そりゃ、幕末に吉田戦車が浮世絵を描いていたら、わけわからん世界の作品になるよ(笑)

クリエイターとして、スタート地点から人と違う立ち位置で、物事を見て感じていて、そのまま作品に反映できる力って、本当に素晴らしいよね。

凄く憧れるなぁ。

自分が音楽を作っててもライブしても、こうやって人と違う立ち位置でいられるのかって、凄く重要な事だよね。私なんかに出来る事じゃないけど、、、

最後は、お決まりのギフトコーナー。

「金魚」のiPhoneレースなんて、カワイイすぎでしたよ。
「猫」のTシャツに、かなり萌えつつも、グッと我慢。。。

しかし、、、妻が、とある場所で釘付けなってる。

アダチ版画という、木版画等を現代に蘇らせて復刻している会社らしいのですが。
歌川国芳の作品も、新たに木版を彫って、何種類か復刻したものが売られていた。
絵の具や和紙等を、江戸時代そのままに復刻するのは難しいですが、実際に職人が木版を彫って、浮世絵と同じ手法で刷っている。

その中に、あの「金魚」シリーズが。。。
(残念ながら「猫」シリーズは無かったみたい)

大の「金魚」好きの妻ですから、、、

それなりの値段はします、、、(当たり前)

悩みに悩んだあげく、買ってました(笑)

と、まあ、そんなわけで歌川国芳を堪能して来ました。

この後、静岡と東京で開催されるようです。
お近くの方は、ぜひ行ってみる事をお薦めしますよ。

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