2週続けてのライブ、「boundless beat #01」に続いて「Electronic Transmitter」が終わりました。
みなさま、ありがとうございました。
この「Electronic Transmitter」では、少し違う方向性でやってみたいと考えてました。ただ、まぁ、、、考えていただけで、凄く具体的な音が、頭の中で鳴っていたわけでもなく、かなり曖昧というか、霧に隠れたような感覚だったので、実際のライブのデキは、これまで半年ほど続けていた音と比べれば、同じモジュラーシンセを使っていても、まだまだ完成度が低いものでした。
うーむ、今回の違う方向性も、同じ事を繰り返してクオリティを上げていかないとなー、、、と思う次第でした。
元々、違う方向性にしてみようと意識したのは、3月のライブの時でした。
「音楽的になって来たよね」、という感想を頂いたのが切っ掛けで。
もちろん、評価してくれた感想だったので、とても嬉しかったのですが、と同時に、「?」と思う気持ちもあったんですよ。
私、ライブで「音楽」をやっているつもりは無いんですよね。
電気を音に変えて、スピーカーを鳴らす、、、という行為をしているだけなんです。
でも、ライブを幾つかやらせてもらって、そのうちに、気付かないところで「音楽」的な事を意識し始めていたんだと思います。
そういう方向性は、それはそれで良いとは思ってるんですよね。それに、この半年間ほど、同じ意識でライブやらせてもらったおかげで、例え突拍子もないライブをやったとしても、いつでも戻って来れる自分の基本、ホームグラウンド的なライブの形が定まって来た感じだったし。
なので、ちょっと「音楽」的な部分を、あえて意識的に排除する方向で、ライブが出来ないかな?、と思って。
あと、ステップシーケンサー限界論。
以前、稲見さんとお話をしていた中でも話題になったのですが、ステップシーケンサーで「フレーズを作る」という使い方をした途端、もうそれ以上の展開が望めない、、、という感覚。
結局、8なり16ステップの繰り返しによる電圧信号でフレーズらしきものを奏でてしまうと、そこから逃れられないというか、、、せっかくモジュラー使って電圧という幅広い信号を使っているのに、たった12音階、五線譜の呪縛に捕われてしまう。音階の持つ魔力というか、音階を耳にしてしまうと、その分、自由度が奪われてしまう、というか。。。
これは、自分もライブをやって来て痛感してた部分なんですよ。
だから、「いかにもステップシーケンサー使ってます」みたいな部分は、ライブの後半、最後の数分感ぐらいで出すぐらい。
それでも、「展開が作れない、どうするか?」と、かなり焦ってるんです。
だから、ステップシーケンサーを使うにしても、もう「フレーズ」は作らない、聴かせない、、、という方向でトライしたいという思いもあって。
そして今回、同じくライブをされる2組。
・yoji and his ghost band
・長野雅貴 +中川裕貴 (a.k.a. N.O.N)
プロフとか音源を聴かせてもらって、、、あぁ、これは、とんでもない事になったぞ、、、と(笑)
私を含めて3組、それぞれ全く違うジャンルの「音」を奏でている。
それならば、私も極端な方向性で持っていくべきだろう、なんて思って。
ライブ前日、モジュラーで、かなりデタラメ度高いパッチングをしながら、色々と音を探っていました。
ステップシーケンサーは完全にランダムに動いてる。だから、どのタイミングで、どうなるかなんて、もう本当にわからない。いつもルーパー代わりに使っているDelayも、今回はお休みして、久しぶりにREON DRIFTBOX sを使う事にして、モジュラーからのモジュレーション信号を突っ込みつつ、様子を見ていました。
色々と変化に飛んだ音が出る事は出るのですが、、、果たしてこれをライブとして成立させるには、どうしたらいいんだろう、と。。。
「こんな音でました〜」って、なんか発表会じゃないですし。
ライブって、「音」とか「曲」を、お披露目する場じゃないですしね。それだと、単なるコンサートになってしまう。ライブする意味が無い。
どうしたものかと思いつつ、、、当日。
yojiさんは、ピアノ+サンプラーを使いつつヴォーカル。とってもPOPな曲調なんだけど、サンプラーから出る音の使い方が面白い。そして、声も良かった。ああやってピアノを弾いてる姿を見ていると、ピアノいいなぁ、って、つくづく思いました。いつもはバンドで活動されてるそうですけど、今回はソロでのライブ。
ギターの長野雅貴さんと、チェリストの中川裕貴さん、お二人のライブ。普段は、もう一人ギターがいて、3人で「N.O.N」という即興演奏をベースにした現代音楽スタイルのバンドで活動されてる。今回は、もう一人の方の都合が付かなくて、長野さんのソロライブに、中川さんのサポート、というスタイル。
長野さんのギターによる弾き語り的にライブが始まる。そして、ギターの弦は切れ始め、弦の切れた音がフィードバックされ始め、チェロの豊かな低音の響きは、ディストーションの如く歪み始める。
そして、ギターもチェロも、「音を出す物体」と化していく。
私、かなり引き込まれました。最後の方はノイズですけど、音以上に、人が体全体でたたき出す、という行為に圧巻だった。ライブそのものだった。
ノイズはノイズでも、こんな突き抜けたライブを目の当たりにして、自分が「音楽」的な部分を排除するのに、どうしよう、どうしようって考えていた事が、なんだか幼稚に思えました。
ちょっと気持ちがラクになった感じで、自分の番。
デキは、、、まぁ、最初に書いたとおりで。
yojiさんが、「全然、飽きなかった」と言って下さったのが、ちょっと救われた感じでした(笑)
長野さんは、モジュラーの音の出る感じに興味を持ってもらえた感じで、少しお話をしました。N.O.Nとしてのライブも、ぜひ聴いてみたい。
普段は、テクノ系やエレクトロニカ系のイベントでライブをさせて頂く事が多いので、yojiさんや長野さんのように、全く違うジャンルで音を奏でている人達と出会う機会って、とても少ないので、今回のライブの体験は、なかなか貴重なものでした。
さあて、ちょっと一服して。
モジュラーと戯れながら、また色々と音遊びを続けたいと思います。
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