モジュラーシンセが扱うモジュールの中で、〝ミキサー〟モジュールと、主にAudio信号に特化した〝エフェクター〟(リバーブやディレイ等)モジュールがありますが、なぜかモジュラーシンセを使い始めた当初から、あまりモジュラーシンセのモジュールとして使う事には、あまり興味が無いというか、けっこう消極的なんですね。
で、なぜなのかな、と色々と考えてみるわけですが。
えっと。
もうちょっと具体的に言うと、、、
〝ミキサー〟モジュールと言っても、ここで私が言うのは「L/R等の2mixにして、最終的にPAへ送る」段階のミックスで使うミキサーという意味で、〝エフェクター〟モジュールも最終ミックス直前にセンド・リターン等で味付けをする段階のエフェクター、という位置付けの話なんですね。
なので、例えば2種類のエンベローブのCVをミックスする為に、アタック感と胴鳴り感を混ぜて作る為に等、そういう複雑なCVやGateを作ったり、音色制作段階等では、普通に〝ミキサー〟モジュールは使用しています。
あと、まあ、どうしても最終ミックスでチャンネル数が足りない時(特にリズム系ですね)にも、モジュラー側で幾つかミックスしてから、という時にも使用はします。
エフェクターも同じような使い方の範囲では、使っています。
さて、話を戻しまして。
最終段階でのミックスやエフェクト処理には、モジュラーシンセのモジュールを使用しない、要はモジュラーシンセ内で完結させていない、という事なんですが、どうしてそうなったか、、、
それは、そもそもモジュラーシンセ内で完結するのが不可能だったから、というところからスタートしていたからなんですね。
私がユーロラックスタイルのモジュラーシンセを使い始めたのが2001年で、その頃で日本国内で入手可能なのは、Doepfer , Analogue Systems , MFB , Analogue Solutionsの4社ぐらいでした。また発売されていたモジュールも、今のように多種多様なほど数も種類も多いわけでもなく、PAへの最終アウトに出来るようなモジュールはありませんでした。
また、エフェクターも少なからずありましたが、そもそもセンド・リターン的に扱えるミキサー系モジュールが、ほぼ無かった時代なので、一般的にミキサー経由でエフェクト掛けるような使い方をするには、なかなかメンドクサイ時代でした。
なので、最終アウトとそれに合わせたエフェクト処理については、自然と、これまでと同様に単体ミキサーと単体エフェクターで対応する、という感じになったわけです。
ここ数年になって、PAへの最終アウトを想定したモジュールも色々と出て来ましたし、エフェクターもDSP処理で単体機並の機能があるモジュールもあって、ずいぶんと楽にはなったような気がします。
それでも、なぜか最終PAへの出力を想定する部分に関しては、単体機を使うんですよね。
まあ、既に長年やって来たスタイルでストレスが無いっていのが大きいですが、もう一つ、個人的な感覚で、どうも、こういう最終PAへ送る為のミックスやらエフェクト処理っていうのが、モジュラーシンセ内で完結っていうイメージが持てない、っていうのも大きくて。
ふつーに考えて、電子音楽系ライブで2つ3つ機材を使うのであれば、当たり前のように単体ミキサーを使うでしょう?
まあ、もちろんシンセ本体の外部INみたいなものを使って、順々にミックスして出す、っていう事をやっている方もいますけど、だいたい単体ミキサーを使ってる方が多いと思うんですよね。
エフェクターも、その流れで単体機を使っている人も、普通にいますよね。
なんかね。そんな感覚なんですよね。
あと、やっぱり最終ミックスなんで、ミックスのバランスとかやPAN、EQ等の作業を簡単に効率よくやりたい、とか、操作性の問題ですね。そういうのになると、やっぱり単体機の方が優れている。
更に、限られたモジュラーシンセのケース内に、多チャンネルの最終アウトにも使えるミキサーモジュールとなると、けっこう横幅(HP数)を取ってしまうんですよね。オマケに、お値段も高い系モジュールが多い。
それより、遥かに安くて音も良くて、操作性・利便性、、、EQやらセンド・リターンやら場合によってはエフェクターまで内蔵されている単体機ミキサー、ってなると、どうしてもモジュラーシンセ内で完結する理由が、私には見出せない感じなのですね。
全てモジュラーシンセ内で完結、他の機材必要無し、、、っていう誘惑は確かにあって、それはそれで便利だなぁ、という反面、こと最終アウトとしてのミキサーについては、まだ自分には、単体機の方が使う理由を上回っている感じですね。
P.S.
けっこうミキサー自体を使って音の出し入れもする方なので、自分自身がゲートシーケンサーで、腕がエンベローブで、単体ミキサーがVCA、みたいな感覚はあります(笑)
Dr.コトー診療所と実体験
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