12月14日、大阪 environment 0g にて開催されました、モジュラーシンセのライブイベント『104hp.style』は無事に終了致しました。
お越し頂いたみなさま、ありがとうございました。
フードのケータリングをして頂いた、tamutamucafeさま、いつも美味しい料理、ありがとうございます。
物販・展示でご参加頂いた、山下さん、伯さん、ありがとうございました。
そして、ライブ出演して頂いたアーティストのみなさま、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。
今回のイベントは、普段やらないような〝レギュレーション〟(ルール)を設けて、その範囲内でライブを披露して頂くという内容だった為、出演して頂いたアーティストのみなさまには、大変無茶なお願いをするような形になっていました。
モジュラーシンセの面白さや使う目的は人それぞれですが、今回は特に〝モジュールの選択〟と〝パッチング〟に拘ってみようと考えました。
使うモジュールの選択で目的や使い手の個性が現れると思いますし、パッチングは使い手の思想のようなものが具体化する行為だと思っています。その結果としてサウンドが生まれてくると考えました。
そこで、以下のようなルールの下で、あえて〝制限〟を設けてやってみたら、みなさん、どういう〝モジュールの選択〟と〝パッチング〟をされるだろう、見てみたいしサウンドを聴いてみたいと考えました。
そして、104HP以内でモジュールは10個まで、という基本ルールの中で、ライブを披露して頂く流れとなりました。
私自身もそうですが、普段から104HP以内で、モジュールは10個以内と、そんな事を意識してモジュラーシンセを使っていませんし、ライブも想定していません。
また今回は、104HP以内のケースにモジュール10個以内という条件で、出演して頂いたみなさまが、しっかりケースにマウントして持ち込み、ライブを披露して下さいました。
モジュラーシンセを使用されている方ならお分かりだと思いますが、ある程度モジュールが増えて来てからの、モジュールの入れ替え作業というのは、なかなか一苦労する作業で、一仕事する感じです。
たった1つのモジュールを入れ替えるのにも、上下左右の幾つかのモジュールも一旦ネジを外す必要もありますし、入れ替えるモジュールが2つ3つとなると、結局ケースにマウントされている大半のモジュールのネジを外す事になったりしてしまいます。
今回のライブの条件の為だけに、こういったモジュールの入れ替え作業をして頂く結果になり、ライブ以前に大変なご負担をお掛けしてしまいました。
そんな中、みなさんしっかりと準備をして下さり、ライブ当日は出演者それぞれが考えた104HP&10モジュール以内のモジュラーシンセが並び、素晴らしいライブを披露されました。
改めまして、今回のような条件でありながらも出演して頂いたアーティストのみなさまに、深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
ここからは、出演して頂いたアーティストのみなさんのライブの感想を、、、そんな音楽的表現なボキャブラリーも無いのですが、ちょっと記しておきたいと思います。
あくまでも私個人の印象である事と、今回の〝特別な条件下〟でのライブである事、その点は御了承頂ければと思います。
Z_Hyper さん
普段から少なめのモジュールでライブをされている事が多い印象があって、そういう意味では普段のライブの延長線上に落とし込んで来た感じかな、なんて想像しながら聴いていました。パッチングしながらシーケンサー等を使ったフレーズ的な要素と、ドローン的ランダム的な要素と、そのバランスを丁寧に探りながらサウンドを構築していくパッチング&サウンドでした。
Polyshaft さん
所謂、一般的なシーケンサーの類いのモジュールは使用してなかったと思うのですが、その状態からのテクノ的なアプローチのライブだったと思います。リズム的な音を主体にして、規則性と不規則性が入り乱れるように聴こえて、もしかしらた普段はライブではあまりされないような手法?を試されたような、実験性を凄く感じるライブでした。
0|1(無と有) さん
今回のレギュレーションではピカルミンが使用出来ない中、見事にピカルミンが登場し、普段のライブが出来ない条件下においても、普段のイメージ?を十二分に楽しめるライブでした。ピッチ変化からバグる感じの怖い鳴き声まで再現されてて、「やられたー」(笑)って感じでした。そして、それ以上にケースが凄くそうめんでした。
PIKAMACHI さん
どちらかといえば使用するモジュールも少なめな感じでライブされている印象があったのですが、今回は更にシェイプアップされた感じもあって、取り出される音がサイン波だったりノイズぐらいなのかな、と思えるセットからは想像も出来ない変則エレクトロ&ノイズみたいなグルーヴを生み出すライブが凄く楽しかったです。
Molecule Plane さん
普段のライブスタイルを完全に、今回の条件下にリプレースしたと言いますか、この条件でも揺るぎないスタイルのライブでした。10個のモジュールで何層にもレイヤーされた音響サウンドを存分に出力しつつ、時間軸の変化からストーリーを奏でる感じは、このミニマムなセットからも十分に発揮していました。
Plugman さん
普段のライブからは、もしかして一番対極的なセットだったのかもしれません。パッチングされてない無音の状態からパッチングしながらの構築は、普段のライブのエッセンスをふんだんに盛り込み、どのように作り上げられて行くか、という過程まで感じる事が出来て、あのグルーヴの秘密の一端を体験したライブでした。
iseiben さん
変幻自在と言いますか、どういうモジュール構成であっても、探究心だったり実験性だったりをベースにしつつ、自分のスタイルを構築されている印象で、今回の条件下でもそれは健在で、ミニマリズムと音響的なアプローチの実験が繰り広げられる感じのライブでした。
Masayoshi Sakaguchi さん
とても重心が低く、それでいて凄くハイファイな感じるサウンド奏でるライブでした。今回のようなミニマムなセットからは、ちょっと想像出来ない圧倒される音色感と言いますか、音圧じゃない何か、みたいなサウンドが印象的で、Molecule Planeさんとはまた違う音響の世界でした。
HATAKEN さん
ドローン的なアプローチのライブで、普段の印象と違ったので、もしかしたら今回の条件下では、何時もとは違うアプローチを試みたライブだったのかも、という印象でした。個人的にですが、4ms SMRは毎度欲しいなぁ、と思っているモジュールを多用されていたので、音が綺麗でした。
909state さん
何よりも「はっ」とさせられたのは、無音になる〝間〟を作り出していた事でした。オシレーターは音を出し続けるモジュールで、その1基のみ使用なので、あとは奏者だけが唯一の存在で、1対1の関係でした。短いグルーヴや展開という〝間〟、終わりなのか次があるのかという〝間〟、様々な〝間〟を展開し、その対極にオシレーターから放たれる音の壁が存在していて、凄みのあるライブを体験できました。
そして、自分のライブというか、ですが。
基本的には、何時もの感じを104HP&10モジュール以内でやってみた、という方向でした。
実際に10モジュールを選んでみて、それから外れたモジュールと入れ替えてみたらどうなるか、とか考えてみたのですけど、結局のところ自分が持ってるモジュールの中では、あまり選択肢が無かった感じでした。
今回、選んだ10モジュールから幾つか違うモジュールに入れ替えてみたとすると、横幅が広いモジュールが入ってくるので、104HP以内という条件で厳しくなる為、2つ3つのモジュールとのトレード、という事になるのですが、そうすると比較的に持続音を多用する方向になるのかな、という感じでした。
そうすると、ノイズとかドローンのような要素を多く取り入れたスタイルなるのか、という感じだったのですけど、どうにも自分には、その方向性の素養というか、方法がよくわからない。。。
ノイズやドローン系で、人の作品やライブを聴くのは全然良いのですけど、そういうのをいざ「自分でやれ」、と言われると、どうやってよいのか、わからない。
適当に煩い音を出すだけなら、そりゃ出来ますけど、そんなものはノイズミュージックでもなんでもないわけですからね。
普段はやらない事をやる、という意味でチャレンジしてやってみる、という方向性もあったのでしょうが、たぶん手持ちぶたさな感じになってしまうだろうなぁ、という感じもしたので、何時もの感じでやってみよう、という流れでした。
実際に104HP&10モジュール以内でライブをやってみて、一つ気付いたのは、持ち時間20分の間で、用意した10モジュールを要所要所で満遍なくコントロールしていた事でした。あ、MakeNoiseのLxDはツマミも無いので操作しようありませんが。
普段のライブだと、私の場合、30〜40個ぐらいのモジュールは使用していると思うのですけど、持ち時間の中で何かしらコントロールしているモジュールっていうのは、実際には10個あるかないか、ぐらいなんですよね。
半分以上がパッチングした時点で完成された信号経路で、そこはほとんどライブ中は触らない。
ライブ中にコントロールする部分も、ある程度は自分で決めていて、そういう方向性でパッチングしていたりします。
今回は最大で10個のモジュールしか使えない条件だったので、全部のモジュールに役割分担させて、それぞれにコントロールする要素も割り振って、音色の変化や展開、聴かせ方のようなものを作っていた感じでした。
そういう部分で、モジュールのコントロールという意味では凄く集中出来て、楽しいライブだったなぁ、という体験でした。
今回のような〝104HP以内〟、〝10モジュール以内〟というようなライブを企画して開催出来たわけですけど、それまでに色々と考える事があって、色々なアイディアも浮かんでは消えて、みたいなものもあったのですが、根っこは2014年に開催した『モジュラーフェスティバル vol.4』まで遡ります。
この時にも、出演者の方々に対して、ある〝縛り〟を設けました。今回のようなハードウェア的な物理的な縛りではありませんでしたが、この時ぐらいから、なんて言うんでしょうかね、、、色々と考え始めていたような気がします。
それからアレコレで考えて妄想したりしていたわけですが、まぁ、その辺りは、個人思想のクドい話になってしまう感じになりそうなので、公に書いても意味も無いでしょう(笑)
でも、そこから絞り込んで何か出来ないか、というところで最初に書いたような、〝モジュールの選択〟と〝パッチング〟という、モジュラーシンセの基本的な要素のような部分に、出来るだけフォーカスするようなイベントを開催出来たら良いな、という方向になっていったんだと思います。
今回の104hp.styleというイベントは、あくまでも〝こういう条件だったら〟というライブイベントでしたので、特にこれがモジュラーシンセの正解とか、そういうものでは全くありません。
出演して頂いたアーティストのみなさんも、この条件でライブをして頂いたのであって、普段のアプローチやスタイルは、もちろん全く違うものでしょう。
もし、今回とは全く違う条件だったとしても、また違ったライブやモジュラーシンセの使い方が生まれるでしょう。
それぐらいモジュラーシンセは自由で懐が深く、やっぱり面白いです。
ぜひ機会がありましたら、モジュラーシンセのライブに足を運んでみて下さい。
モジュラーシンセの音もですが、どんなモジュールがセットされていて、どんなふうにパッチングされているのか。もっと言えば、モジュールの配置、パッチケーブルの色の組み合わせや長さにも、使い手の個性が現れているでしょう。
ありがとうございました。
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