電子音楽イベント『電音ハッカーズ』全プログラム終了

Live Info.

この『電音ハッカーズ』というイベントには、前身になるイベントがあって、それは初めて自分がゼロの状態からイベントを企画した『電音茶会』という、2012年7月に開催したイベントでした。〝電音〟という文字以外、内容もテーマも特に共通点は無いのですが、原点にはなっています。
一から自分で会場を探して交渉して、出演者のオファーして出演料を払って、フライヤー制作して配布して等々、全て初めての経験。

その前には阿波座時代のnuthingsで『モジュラーフェスティバル(vol.1)』を開催しているのですが、この時は〝一出演者〟という認識でしかなく、あまりイベント自体について深く考えていませんでした。
『モジュラーフェスティバル』については、vol.3以降になって具体的に色々と考え始めて、vol.4 & vol.5は、出演者で集まってイベント内容について議論したりフライヤー配布も全員でやったりと、色々と今のイベント企画に繋がるような意識でやっていましたね。

そんな中、たぶん『電音ハッカーズ』の最初のアイデアは2014年で、当初は私一人がメインでカフェでユルユルとスイーツしながら、モジュラーシンセをメインに何かする、というようなイメージで考えていて、実際に会場になりそうなカフェを探したり、お店の方と話しをしたり動いてはいたんですよね。
そういう意味では、当初は原点になっている『電音茶会』と繋がるのかもしれない。

ただ、このアイデアを周囲に少し話をした事があって、「ふーん」っていう感想だったんですよね(笑)
まあ、考えてみれば当たり前ですよね。私一人メインのイベントに、カフェでスイーツしながら楽しめるのか、と。。。(爆)

そんなこんなのある時、以前に出演させて頂いた『電子音楽のスタディーズ』というイベントを思い出したんですよね。
ライブとかしない、トークがメインのアカデミックな感じの電子音楽イベント。
ライブも無いのに(ちょっとした音を出すパフォーマンス・タイムはありましたが)、けっこうお客さんも来られていたので、ちょっと驚いた記憶があって。

で。
あれ、もしかして。

「ライブより、みなさん、話を聞きたいのでは?」、と。

確かに楽器屋さんでワークショップとか開催すると、人も集まるよな、と。。。
電子音楽の世界でも、「話を聞きたい」という需要があるんじゃないかと。

ここが、今に至る『電音ハッカーズ』のポイントだったなと思います。

そうなれば話は早い。
何かしらテーマを決めて、そのテーマに沿ったアーティストさんに出演して頂いて、ちょっとしたライブと合わせて、色々とお話をしてもらう。
これで行こう、と。

当初のスイーツしながら云々というアイデアは、完全に吹っ飛びましたね(笑)

テーマを何にするかアレコレ考えながら、どんな方に出てもらえば良いか考えながら、会場は油野美術館を想定していました。
会場の決めては、カレーでした(爆)

まだ開催の目処も立ってないのに、なんとなくフライヤー制作していた画像が残ってますね。。。
この時点では、フライヤー制作するにしても自分で簡単なモノを作れば良いぐらいでしたし、集客を意識しないで気楽にやりたい、という気分でしたね。

そんなある日、『モジュラーフェスティバル vol.5』に向けて出演者で集まって、電氣蕎麦さんで話し合いをしたんですね。
その時に電氣蕎麦のマスターから、「うちでもイベントやって下さいよ」って言われたんです。

おっ?!、と。

ライブ&トーク、このARP2600サウンドが流れる怪しくも隠れ家的な空間。
手打ちそばを食べながら?

良いんじゃないか、と(笑)

そこからは具体的な開催に向けて考えて。

・全5回シリーズ
・毎回違うテーマ
・毎回違うアーティスト
・出演料&制作代は必ず支払う
・チャージは出来るだけ安く
・短めの時間で早い時間帯終了
・二件目イベントにも遊びに行ける
・集客
・フライヤー作成
・年内完結

当初からシリーズ化して、更に最初から全5回で終了する予定で考えていました。
終了ありき、そんなイベントでした。
ただ、1年間(2015年内)で全5回というのは無理すぎる話だったのですが。。。

フライヤー作成も、自分でやっていると無駄に時間が掛かるので、京都在住のnicoさんという方に依頼しました。
依頼した理由は、デザイン出来る知り合いの中で、全く電子音楽に興味が無い(そもそも聞いた事もないし、聞こうとも思わない)からでした(笑)
そんな方にデザインして欲しかったんです。
巷のスタイリッシュでカッコいい、如何にも電子音楽、というデザインにだけはしたくなかったのです。

毎回、直接会って今回のテーマを伝えて簡単なリクエストを出して、それ以上はデザインについて口出しをしませんでした。テキスト周りの配置や読みやすさみたいなところは、細かく修正してもらいましたけど。「もう1mmぐらい動かして」とか(笑)
あと、シリーズ物のイベントになるので、共通したキャラクターが欲しいって、一番最初にリクエストして生まれたのが〝ノイズちゃん〟でした。名前もnicoさんが付けてましたねw
面白かったのは、最初の案から既に尻尾?の先がプラグになっていたこと(爆)、、、私からのリクエストは胸元に「VUメーター付けて」ぐらいだったと思います。

そんなこんなで始まった『電音ハッカーズ』なんですが、やはり1年で5回というのは無理があり、、、4回目を開催した時点で11月。。。
こりゃ、5回目は年内無理だな、と。
年越してから5回目を開催しても良かったのですけど、この時は最初に決めた〝年内完結〟を優先して、その4回目で『電音ハッカーズ』最終回としました。

年越して2016年、もちろん5回目の開催するつもりもなく、〝幻の回〟という位置付けも面白いな、と。

月日が流れて2016年の5月だったかな、私が参加していたイベントに、とある方が遊びに来られて紹介して頂いたんですね。
その方、山下春生さん。
そう、、、1977年1月~1978年3月、「初歩のラジオ誌」に本格的なモジュラーシンセの製作記事「ミュージック・シンセサイザーの回路から製作,徹底ガイド」を計15回連載された、日本界DIYシンセのパイオニア、その人。

「えっ?!」、って。

ヤバイやばい。

何がやばいって、『電音ハッカーズ』〝幻の回〟となった第5回目のテーマにしていたのが、まさに【DIYシンセ】だったからです。
当初、REONの荒川さん、JMT SYNTHのピノ作さんに出てもらえたら、という想定だった企画です。

と言うか、DIYシンセのレジェンドが目の前にいます。
これはもう。。。

確か、その場で初対面なのに、電音ハッカーズの出演のお願いをしたと記憶してます。

これで最終回は撤回となり、約1年ぶりの2016年10月に『電音ハッカーズ vol.5』の開催となりました。
残念ながらJMT SYNTHのピノ作さんは、ご自身の作品(シンセ)の全国展覧会を企画されていて、ほとんど大阪にいない状況だったので、どうしてもスケジュール合わずで出演して頂く事が出来ませんでした。

さて、当初の予定していた全5回が終了したので、何か〆のイベントがしたいなぁ、と企画したのが更に1年後の2017年11月の『電音ハッカーズ vol.6 SPECIAL!!』で、こちらはトークなし、がっつり本気モードのマシンライブを楽しめるイベントで、サワサキヨシヒロさん、福間創さんにも御出演して頂きました。

これで終了するつもりではいたのですが、、、『電音ハッカーズ vol.6 SPECIAL!!』の企画を進めていた時点で、vol.7〜vol.9までのテーマと具体的な出演者のイメージがあって、最後の締め括りとして今回のvol.10を開催しよう、という流れで他の実現したいイベントも含めて、時間的・予算的な兼ね合いを考慮した上で、順調にいけば2020年にはvol.9とvol.10は開催出来るだろう、と思っていました。

本来であれば2020年で終了予定でした。

ですが、2020年に入ってvol.9の開催が決まり告知直前、更にvol.10もスケジュール調整をし始めた矢先、新型コロナウイルスのパンデミックと緊急事態宣言の発令。
vol.9は告知直前で開催を無期延期と判断し、vol.9が開催出来ない以上、vol.10も一旦中止せざるを得ない事態になりました。

vol.9は、今までフードのケータリングで参加して頂いてたtamutamucafeさんのお店での開催を予定していました。しかし飲食店舗さんでは〝休業〟か〝夜20時までの営業〟という状態を強いられる事になり、また仮にイベントを開催したとして何かあれば、そもそもの飲食業に影響が出てしまうおそれもあり、vol.9の開催の目処が立ちませんでした。

2022年の夏以降ぐらいからでしょうか、実質的には規制もほぼ無くなり、様子を伺ってました。そして秋以降、vol.9の再始動に向けて動き出し年内開催も模索しましたが、さすがに時間的余裕もなく、年明けてから仕切り直した結果、2023年7月の開催が決まり、それを受けてvol.10の開催に向けて動き出した感じでした。

最後になるvol.10でHIROSHI WATANABEさんをスペシャルゲストとしてお呼びしたのは、もっと以前から「いつかイベントでご一緒したいなあ」という思いがあって、たぶんそれは自分で企画して実現するしかないだろうなぁ、と。
ワタナベさんをお呼び出来るだけの、しっかりした企画というか、そういうイベントが出来るタイミングと、ずっと考えていた、今回が〝その時〟だ、と。
 
3年越しになってしまいましたが、出演者や会場も含めて、当初の予定以上のイベントを開催出来たかな、と思います。

思い出話しもこれぐらいにして。
『電音ハッカーズ』含めて、もうイベント企画するのはね、十分ですよ(笑)
ここまで良くやった、自分で自分を褒めて、自腹で何か御褒美ランチでもしようと思います。
(何時ものターン)

再度、『電音ハッカーズ』、そして私と関わって下さいましたみなみなさま、本当にありがとうございました。
 

そして。。。
最後に。
改めて。

『電音ハッカーズ vol.6 SPECIAL!!』に御出演して頂いた、福間創さん。
『電音ハッカーズ vol.8』に御出演して頂いた、KAZ a.k.a.HIGEさん。

お二人とも、ご病気が原因とはいえ、この世を去ってしまいました。
残念です。。。

福間さんは、、、
vol.6でサワサキさんには早い段階から出演して頂くつもりで考えていて、福間さんのお住いがサワサキさんとご近所でプライベートで会う機会もあるみたいで、何かしらイベントでサワサキさんと福間さんがご一緒する機会を作れないか、と思ったのが最初でした。
と言っても、福間さんとはtwitter(現、X)で何度かやり取りしたぐらいなのと、福間さんのイベントへ遊びに言ってご挨拶をした程度で、そんなぐらいで果たして出演オファーして良いものなのだろうか、それ、凄く失礼じゃないか、と色々と考えて、なかなかオファー出せず、、、

まあ、駄目もと、断られるのを覚悟でオファーを出したら、そのメールの長文に笑いつつも(すいません、つい。。。)、出演を快諾して頂けたんですね。
おまけに、福間さんのショップでフライヤーの折り込みもするよ、と言って頂いて。
逆に、それが凄いプレッシャーになったり、、、これは集客に失敗すると大変だ、、、とか。。。(笑)

その年末にはサワサキさんらと軽く忘年会的な事をして、福間さん、気持ちよさそうにメチャ酔っ払っていたのを今でも凄く覚えてますw
その後も何度かお会いしたりしていましたが、「自宅に遊びに来てよ」って言われたんですけど、実現出来なかった、、、

HIGEさんは、、、
バカですよ、バカ。。。
電音ハッカーズもですが、結果的にHIGEさん最後のイベントも私絡みになるなんて、そんなのやめてよ。
遺品で引き取った2TB HDDには、恥ずかしいデータも沢山と入ってんだYO!!!、どーすんだ、こんな恥ずかしいデータ残して、あの世に行くなんて。
今すぐ戻って来て、自分で削除しるっ!!

関西チップチューン界隈の殿堂『1H1D』に、なぜか呼んで頂いたり、私絡みのイベントにも出てもらったり、他のイベントでもご一緒する機会もあったり、何処にでも顔出していたり、会う度に「殺す」って言われて、会う度に「いい夢みろよ」って言われてた。
アンタが先に逝って、いい夢見ててどーすんだYO!!!
人の事ばかり気にして、自分をもっと大切にしとけば、こんな事にもならなかったのに。。。

みんな、もう少しは長生きしようね、お互いに。。。

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