S・S・ヴァン・ダイン『僧正殺人事件【新訳版】』

2.5
Book

S・S・ヴァン・ダイン
僧正殺人事件 【新訳版】
(創元推理文庫)

推理小説のブームって、定期的にやってくると思うのですが、ちょうど私が高校生の頃にも推理小説が流行っていて、江戸川乱歩や横溝正史、コナン・ドイルやアガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、モーリス・ルブラン辺りを読んでいたんですよね。
で、横溝正史『金田一耕助』シリーズの〝獄門島〟や〝悪魔の手毬唄〟には元ネタがある、という感じの事は高校生の頃から知ってて、そこからアガサ・クリスティの〝そして誰もいなくなった〟があって、更に遡ると、このヴァン・ダイン『僧正殺人事件』に繋がるのか、という知識だけはありましたが、当時は学校の図書館にも置いてなく、生活圏内で行く本屋でも見掛けた記憶がありませんでした。

それから時は流れ、、、今年に入って最低月一ペースで本を読もうと決めてるわけですが、よく行く本屋をブラブラしていたら見掛けたんですよ、『僧正殺人事件』。
別に探していたわけでも無かったのですが、、、これはもう読め、というお告げじゃないかと(笑)

所謂〝マザーグース殺人事件〟(見立て殺人)の古典的名作。

で、読み終えた感想なのですが。。。
このブログで本を読んだ際、評価を5段階で付けているのですが(〝5〟が一番良い)、今回の評価は〝2.5〟。。。

いあ、内容は面白かったです。
この手の〝見立て殺人〟が、後世に引き継がれて色々なミステリー作家に影響を与えるだけの、そういう面白さがありました。
内容だけの評価であれば〝4〟は付けると思います。

ですが。。。

もうね、、、申し訳ありませんが、、、日本語訳がダメ過ぎます。
英文を直訳した上で、多少は読みやすいように変更しているのでしょうが、更に文字数を増やす方向の変更がされている気がします。
結局のところ、そもそも〝小説〟として成立してない文章の集合体になってて、かなり苦痛でした。

日本人は文字の文化の国であるので、そんな文字数を増やして、事細かく説明をしなくても、しっかり前後の描写が的確であれば十分に想像が出来るのに、そこを無視している感じがしました。
原文にある単語や節も、必ずしも日本語として記述する必要は無いはずだと思います。

例えば人物の会話も、客観的に考えてみて下さい。
あのような口調のやり取りをするはずは無いんですよ。
今日一日、あなたが誰かと会話をした際、この小説に出てくるような口調ではないはずです。

日本語訳は出来たが、小説になってない、という感じです。

願わくば、日本語訳をした文章を、ちゃんとした小説家を稼業としている方が再構築した『僧正殺人事件』を読んでみたいです。
劇的に面白くなるはずです。

まあ、ちょっと残念でした。。。

P.S.
海外からの日本語訳モノって、翻訳の悪さで台無しになってるパターンが多いですよね。
わかりやすく日本語訳にしようという考えが優先し過ぎてて、読書という時間の流れの中で、山あり谷ありの時間があり、それを追体験するという小説の体裁が壊れてしまっている。

P.S.
推理小説の古典といえば、ジョン・ディクスン・カーの作品も1つぐらいは読んでおきたいな。こちらも昔から名前だけは知ってるけど、読んだ事が無いんですよ。密室殺人モノの第一人者ですよね。

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