アンディ・ウィアー
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
(早川書房)
遅ればせながら、アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み終えました。
しっかりとしたSF小説だと思うのですが、「スターウォーズ観ました」(それも初代ぐらい)、「エイリアン観ました」程度のSF初心者の私でも、このプロジェクト・ヘイル・メアリーの世界にどっぷり浸って読む事が出来ました。
まあ、子供の頃に科学雑誌〝Newtone〟買ってたり、宇宙や”なんちゃって”理論物理とか興味はあるので、そんな世界観が出てくる話は好きなんですけどね。
以下、若干ネタバレあります。
と言っても、自分が勝手にイメージしているSF的な小説とは違いました。ついついスターウォーズみたいな、壮大な世界観を勝手に想像していたのですが、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は私達の生きる現実世界の、ちょっとした近未来に発生するかもしれない物語。
だから、現代科学からあまりにも逸脱した、荒唐無稽な科学理論は一切出て来ない。
そこらへんは、同じ著書のデビュー作『火星の人』もそうでしたよね。
地球の危機を救う為、主人公が孤軍奮闘するストーリー、、、って王道なのかなと読み進めると、意外な方向に話が展開して、「母星を救う」という同じ目的の為に異星人と凸凹コンビを結成。
お互いの母星が危機的状況なのに、なに漫才やってんだ、という気分も少々(笑)
が、ジワジワと問題解決の核心に近付くと共に、次から次へとトラブルが発生し始めて、おお、SFってるなーという展開になるも、そこは凸凹コンビの軽妙な言動で解決に導いて行く様は読んでいて気持ちがいい。
最後は、きっと異星人の星も地球も助かるのかな、助かったね。。。
という〝オチ〟で終わるのかと思ったら、本当の〝オチ〟は最後の最後にやって来た。
この物語の最後、主人公の〝日常〟の一場面が〝オチ〟だった。
地球を救う壮大なプロジェクト・ヘイル・メアリーに参加する前、主人公の職業はなんだったか?
主人公がプロジェクト参加を拒み、何を思っていたのか。
SFに出てくる異星人は、地球人より科学が進んでいる設定が多い中、微妙に科学の分野で地球人より劣っている異星人が地球人と出会った意味は。
色々な状況が伏線となって、最後の〝オチ〟に、ストンと落ちて来る・
いやぁ、あんな〝オチ〟で終わるなんて、その数行前まで読み進めていても、全く微塵も想像出来なかった。
そして、その〝オチ〟で、「うわぁぁぁぁぁぁ」って。
涙が出た。
地球年齢で70歳を越えた主人公、グレース博士。
「ホンっトに、報われてよかったねえ」
小野田和子さんの和訳も流れるような文章で、とても読みやすかったです。
2026年に映画公開予定らしいので、これは観てみたいなあ。その前に映画『オデッセイ』(原作『火星の人』)も観ておきたいな。
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