2hp / MIX

モジュラーシンセ

そんなこんなで懐事情が年中厳冬期の中、突然と思い立って2hp 『Mix』モジュールを購入。
とある事を思いついた、と言うか、とあるライブでのセットに利用すれば、ちと強化出来るな、と衝動買いレベルだったのですけども。
 
で、結局のところはライブには間に合わなかったのですけども(笑)

今回はMixer(ミキサー)モジュールとAttenuator(アッテネーター)モジュールの話を、つらつらと書いてみます。
 
と、その前に個人的にはモジュラーシンセ内で、あまりミキサーモジュールって使わないんですよね。
深い意味も無いんですが、特に〝複数の音をまとめる〟という一般的な使い方としてのミキサーモジュールは、あまり使って来ませんでした。
と言うのも、それは今までどおり、外部ミキサーでやれば良いんじゃないの、っていうのがあったからで、その方が圧倒的に使いやすいんですね。
 
モジュラーシンセのモジュールだけでやろうとすると、そもそも入力チャンネル数が少ないしステレオ入力もままならないし(チャンネル数が多く、またステレオ入力も備えたモジュールもありますが、その分、サイズも大きくなる)、という事とか、外部ミキサーだと各チャンネルにEQも付いていたり、センド/リターンでエフェクト等もお気軽だし、何よりモジュラーシンセのパッチングなジャングルから切り離されているので、アクセスが楽だし早い、と。
 
圧倒的に音のミックスは、やり易いですよね。
 
まあ、そもそもモジュラーシンセを使う云々限らずに、複数の電子楽器を使用してライブする方は、必ず手元にミキサーが1台ぐらいあったりすると思うのですけど、そのような感覚です。
 
そんなこんなで、ライブ用モジュラーシンセのセットには、ミキサーモジュールが入ってなかったり、入っていても外部ミキサーだけではチャンネル数が足りない時に、最低限の音だけ先にミックスする為だけぐらいに使用する、程度なんですね。
 
私の場合、ですけど。
 
で、前置きが長くなりましたが。
 
今のライブ用モジュラーシンセのセットでは、アッテネーターモジュールをミキサーモジュールとして併用する感じでいたのですが、ちょっと別々に分けて使えるようにしたい、という思惑で別途ミキサーモジュールを購入しました。
以前からミキサーモジュールは持ってはいるのですが、Doepfer帝国時代の8HPモジュールで、HP数を節約したい、という理由で2HPサイズを新たに購入。
 
これで、同じ8HPというサイズで、ミキサーモジュールとアッテネーターモジュールを別々に同居出来るようになったので、個人的には凄く使い勝手が良くなりそう、という感じなのです。
 
ちなみにアッテネーターモジュールとして使用しているのは、Mutable Instruments 『Shades』です。


さてさて。
 
入力した信号のレベル調整、ミックスして出力する、というミキサーモジュールは想像するのも簡単だと思います。
単体ミキサーやDAW内でもミキサー画面はありますし、音楽をやっていく上で一番慣れ親しんでる機材なんじゃないかと思います。
ただ、一般的なミキサーは〝耳に聴こえる〟音のミックスで使用しているはずですが、モジュラーシンセのミキサーモジュールの場合、〝耳に聴こえない〟音、即ちCVやGateのような信号をミックスする事が出来るタイプのモジュールが多くあります。
 
例えば、2つのADSRエンベローブをミックスしたら、どうなるでしょう?
1つのLFOと、1つのステップシーケンサーをミックスしたら、どうなるでしょう?
 
こんなミックスは、モジュラーシンセならでは、だと思います。
単純なLFOとADSRエンベローブだったとしても、これらをミックスしてバランスを変化させるだけで、それぞれだけでは作り出せない複雑な信号を取り出せるでしょう。
 
そういう意味では、モジュラーシンセのケースに余裕があればミキサーモジュールは1つあっても良いのではないでしょうか。
 
そして、次にアッテネーターモジュール。
これはモジュラーシンセ以外のシンセにも、何気に付いている機能で、ほぼ意識せずに普段から使っている機能だと思います。
その機能だけを、単体として切り出したのが、このアッテネーターモジュールです。
 
アッテネーターモジュールは、入力した信号のレベルを調整したりミックスしたりする事が出来るモジュールです。
〝ミックスする〟、という部分だけを見るとミキサーモジュールと同じ機能になるので、多くの場合はアッテネーターモジュールをミキサーモジュールとしても利用できますし、実際にそんな使い方をしている場合も多いと思います。
 
アッテネーターモジュールが、ミキサーモジュールと一番違う部分は、各チャンネル毎にレベル調整した信号を、ミックスせずに、そのまま各チャンネル毎に出力できる、という点です。
 
言葉で説明すると、なんともイメージが出来ないというか、「で?、それが何?」みたいな機能に見えると思います。
 
モジュラーシンセ以外で考えると、例えば複数のLFOやエンベローブが搭載されているシンセで、それぞれを、どの機能に掛けるかって、選択したり出来ますよね。
で、LFOの1番をフィルターに掛けよう、と。フィルターのセクションにあるLFOのパロメーターを上げていくと、どんどんLFOの掛かったフィルターの動きになっていきますよね。

このフィルターに、どれぐらいLFOを掛けるか、という〝どのぐらい〟という部分がアッテネーターモジュールになります。
 
モジュラーシンセのモジュールには、入力部分と出力部分がありますよね。
その入力部分には、〝どれぐらい〟入力させるか、入力のレベルを調整できるツマミが付いていたりします。
これで、パッチングされたLFOやエンベローブ等の掛かり具合を調整するわけですね。
 
しかし。
 
残念ながら、全てのモジュールの入力部に、そのような入力レベルの調整できる機能、ツマミ等が付いているわけでもありません。
 
設計者のコンセプトもあるでしょう。
サイズをコンパクトにする為、ツマミも必要最小限しか付いていないかもしれません。
また、複数の入力部分があったとして、その全てに入力レベルを調整できる機能は付いていないでしょう。
 
こうなってくると、パッチングした信号の入力レベルの調整が出来ません。
 
そこで、アッテネーターモジュールの出番となるわけですね。
 
まずは利用したい信号、例えばLFO等を一旦、アッテネーターモジュールに入力。
そのアッテネーターモジュール上でレベル調整して出力した信号を、目的のモジュールの入力にパッチングする、という感じになります。
 
こうすれば、アッテネーターモジュールで調整する事で、目的のモジュール側だけでは調整出来なかった入力レベルも調整出来る、と。
 
まあ、こう書くと、、、
 
「めんどくせーなー」
 
と感じるとは思います。
目的のモジュール側で入力調整が出来なければ、アッテネーターモジュールを通してからでないと無理だわ、と。
 
もちろん、目的のモジュール側で、必要な入力レベルの調整が出来れば、こんな回り道をする必要もありませんが、やはり全ての入力に対してとなると限界があるので、こういったアッテネーターモジュールの出番があるわけですね。
 
もう一つ、アッテネーターモジュールを使う利点もあります。
例えば、パッチングの中で〝キモ〟になるような信号、幾つかの信号をミックスしてパランスを変化させる事で、大きく展開を動かしたりしたい時、、、等々。
そういった信号を、一旦アッテネーターモジュールを通してからパッチングしておくんですね。
 
あとは、個々のモジュールを操作する事なく、アッテネーターモジュールだけを操る事で、複数のモジュールや全体の変化を作り出せるので、ちょっとした信号の〝ハブ〟モジュールとしての機能にもなると思います。
 
アッテネーターモジュールは、ミキサーモジュールとしての機能もあるので、ある程度モジュール数が増えて、モジュラーシンセの規模が大きくなって来たら、1つぐらいアッテネーターモジュールは持っていても良いと思いますし、単純機能なモジュールですが使い方のアイデアによっては、強力な助っ人になるモジュールだと思います。
 
あと、アッテネーターモジュールの中にはマイナス方向、信号を反転させる事が出来たり、何もパッチングしていない時は、単純な信号を吐き出すだけの機能になっていて、他の信号をオフセットしたい時にも使用出来たりします。
 
例えばステップシーケンサーの出力と、アッテネーターモジュールからのオフセット信号をミックスすれば、どんどんピッチが上がったり下がったりしながらのフレーズになったりとか。
色々なアイデアで使い方を見つけられると思います。
 
そんなこんなで、これからは明確にミキサーモジュールとアッテネーターモジュールを、別々に使い分けられる環境でパッチングしていこうかなと思ってます。

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